補助金コラム

【2025年版】新規事業で使える補助金・助成金おすすめ10選まとめ|設備投資・採用・販路開拓
新規事業の立ち上げを検討している経営者・担当者にとって、資金調達は最大の課題の一つです。本記事では、経済産業省および厚生労働省が管轄する、新規事業で活用可能な主要な補助金・助成金10選を体系的に解説します。
- 結論:新規事業の「設備投資」には経済産業省系、「雇用・人材育成」には厚生労働省系の制度を活用すべきです。
- メリット:返済不要な資金を得ることで、事業リスクを低減し、成長スピードを加速できます。
- 注意点:原則として「後払い」であるため、つなぎ資金の確保が必要です。
目次
新規事業向け補助金・助成金 比較一覧表
新規事業で利用できる主要な制度を、目的と特徴別に整理しました。
| 制度名 | 主な目的 | 管轄 | 対象経費例 |
|---|---|---|---|
| 事業再構築補助金 | 大胆な業態転換 | 経産省 | 建物改修、設備 |
| ものづくり補助金 | 生産性向上・革新 | 経産省 | 機械装置、システム |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓 | 経産省 | 広告、ウェブ制作 |
| IT導入補助金 | 業務効率化 | 経産省 | ソフト、PC |
| 省力化投資補助金 | 人手不足解消 | 経産省 | ロボット、券売機 |
| キャリアアップ助成金 | 正社員化 | 厚労省 | 賃金増額分 |
| 人材開発支援助成金 | スキル習得 | 厚労省 | 研修費、訓練賃金 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 労働環境改善 | 厚労省 | 労務機器、規則作成 |
| 創業助成金(東京都) | 都内創業 | 自治体 | 家賃、人件費 |
1. 経済産業省・中小企業庁系(設備投資・販路開拓)
経済産業省系の補助金は、主に「モノ」「システム」「広告」などの事業経費を補助するものです。
① 事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業態転換を行う中小企業を支援する制度です。
- 既存事業とは異なる「新規事業」への大胆な転換に適しています。
- 補助金額が最大規模(数千万円〜)であり、建物の改修費も対象となる点が大きな特徴です。
対象例 飲食店の冷凍食品販売開始、製造業の医療機器分野参入など 補助額 枠により異なる(100万円〜数千万円規模) 公式リンク 事業再構築補助金事務局
② ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり補助金とは、革新的なサービス開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する制度です。
- 製造業に限らず、サービス業や小売業のシステム投資でも利用可能です。
- 新製品・新サービスの開発に必要な機械装置やシステム構築費が対象です。
対象例 高性能な加工機械の導入、独自SaaSの開発など 補助上限 750万円〜5,000万円(枠・従業員数による) 公式リンク ものづくり補助金総合サイト
③ 小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が経営計画を作成して取り組む「販路開拓」を支援する制度です。
- 申請のハードルが比較的低く、個人事業主や小規模な法人に適しています。
- 広告宣伝費(Webサイト、チラシ)や店舗改装費に使えます。
対象例 新規事業のLP制作、Web広告出稿、展示会出展 補助上限 通常枠50万円(特別枠などにより最大200万円) 公式リンク 全国商工会連合会サイト ※商工会議所地区は別途窓口あり
④ IT導入補助金
IT導入補助金とは、自社の課題解決や業務効率化のためにITツールを導入する経費の一部を補助する制度です。
- 認定された「IT導入支援事業者」を通じて申請する必要があります。
- インボイス対応の会計ソフトや、ECサイト構築などが対象です。
対象例 会計ソフト、顧客管理システム(CRM)、ECサイト、PC・タブレット 公式リンク IT導入補助金 事務局サイト
⑤ 中小企業省力化投資補助金(カタログ型)
中小企業省力化投資補助金とは、人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」から選んで導入・支援する新しい制度です。
- 2024年から本格化した制度で、手続きが簡素化されているのが特徴です。
- あらかじめ登録された製品から選ぶため、選定の手間が省けます。
対象例 配膳ロボット、清掃ロボット、自動券売機、スチームコンベクションオーブン 公式リンク 中小企業省力化投資補助金
2. 厚生労働省系(雇用・人材育成)
厚生労働省系の助成金は、雇用環境の整備や人材育成に対する支援が中心です。要件を満たせば受給できる可能性が高いのが特徴です。
⑥ キャリアアップ助成金(正社員化コース)
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップ(正社員化など)を促進するための制度です。
- 助成金の中で最も利用頻度が高く、使い勝手の良い制度です。
- 新規事業のために雇ったアルバイトスタッフを、6ヶ月後に正社員にする場合などに活用できます。
対象 有期契約労働者を正規雇用労働者等へ転換した場合 助成額 1人あたり57万円(中小企業・生産性要件満たさない場合)※年度により変動あり 公式リンク キャリアアップ助成金(厚生労働省)
⑦ 人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、従業員に対して専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を行った場合に助成される制度です。
- 「人への投資」を支援するため、研修経費や研修期間中の賃金の一部が助成されます。
- 新規事業に必要なITスキルなどを習得させる外部研修などに適しています。
対象 職務に関連した専門的な知識・技能の習得訓練(OFF-JT) 公式リンク 人材開発支援助成金(厚生労働省)
⑧ 働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金とは、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援する制度です。
- 新規事業立ち上げ当初から、法令遵守のホワイトな労働環境を整備するために活用できます。
- 勤怠管理システムの導入や就業規則の作成費用などが対象です。
対象経費 労務管理用機器、コンサルティング費用など 公式リンク 働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)
3. 自治体・特化型(創業・ベンチャー向け)
国の制度以外にも、東京都をはじめとする各自治体独自の支援制度が存在します。
⑨ 創業助成金(東京都)
東京都創業助成金とは、都内での創業予定者または創業5年未満の中小企業者に対し、幅広い経費を助成する制度です。
- 家賃、広告費、人件費など、国の補助金では対象外になりやすい経費もカバーされます。
- 非常に人気が高く、競争率は高い傾向にあります。
対象 東京都内で創業する個人・法人(要件あり) 公式リンク 東京都中小企業振興公社 創業助成事業
⑩ J-Net21 支援情報ヘッドライン
J-Net21とは、中小企業基盤整備機構が運営する、全国の補助金・助成金情報を網羅したポータルサイトです。
特定の補助金名ではありませんが、自社の地域に特化した「家賃補助」や「改装費補助」を探すために必須のツールです。 特徴 地域や分野(創業、経営改善など)で絞り込み検索が可能 公式リンク J-Net21 支援情報ヘッドライン
よくある質問(FAQ)
Q. 複数の補助金を同時に申請できますか?
A. はい、申請自体は可能です。ただし、「同一の事業・同一の経費」に対して複数の補助金を受け取ることはできません(重複受給の禁止)。例えば、同じ機械の購入費を「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」の両方で請求することは不可です。
Q. お金はいつ振り込まれますか?
A. 原則として、事業完了後です。
申請→採択→事業実施・支払い→実績報告→確定検査→入金という流れになるため、採択から入金まで1年以上かかるケースも珍しくありません。その間の「つなぎ融資」等の資金計画が必須です。
まとめ:まずは自社の投資内容の整理を
新規事業の成功率を高めるために、補助金・助成金は非常に強力な武器となります。しかし、制度は複雑で頻繁に変更されます。
まずは「何にお金を使いたいか(設備か、人か、広告か)」を明確にし、公式サイトで最新の公募要領を確認することから始めましょう。
