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コアコンピタンス分析の
やり方と例。ケイパビリティとの違いも解説!

コアコンピタンス分析のやり方と例|ケイパビリティとの違いも解説

2026年2月26日

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新規事業を成功させる鍵は、他社には真似できない自社独自の強みを正しく特定し、活用することにあります。

本記事では、コアコンピタンス分析の具体的なやり方や手順、有名な企業事例、そして似た言葉であるケイパビリティとの違いをわかりやすく解説します。現場で陥りがちな失敗を避け、自社の資産を最大限に活かした戦略を立てるための実践ガイドとしてご活用ください。

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コアコンピタンスとは?定義と3つの条件

コアコンピタンスとは、競合他社が真似できない、顧客に対して圧倒的な価値をもたらす企業独自の核となる能力のことです。

この概念は、ゲイリー・ハメルとC.K.プラハラードによって提唱されました。単なる「強み」と区別するために、以下の3つの条件をすべて満たす必要があると定義されています。

  • 顧客に価値をもたらすこと
    その能力が、最終的な製品やサービスを利用する顧客のベネフィットに直結しているか。
  • 競合他社が真似しにくいこと
    簡単に模倣できず、希少性が高い独自の技術やノウハウであるか。
  • 広範な市場への展開力があること
    特定の商品だけでなく、複数の製品や全く異なる市場にも応用できる汎用性があるか。

現場では、社内の人間だけが「すごい」と思っている技術をコアコンピタンスと勘違いするリスクがあります。客観的な市場評価がないものは、単なる「自己満足の技術」に過ぎません。分析の際は、必ず「顧客がその能力に対してお金を払う価値があるか」という視点を忘れないようにしてください。

コアコンピタンスとケイパビリティの違い

コアコンピタンスが特定の「核となる技術や能力」を指すのに対し、ケイパビリティは企業活動全体における「組織的な能力やプロセス」を指します。

この2つは混同されやすいですが、以下の表のように整理すると理解がスムーズです。

比較項目コアコンピタンスケイパビリティ
焦点核となる技術、特定の強み組織全体のプロセス、運用能力
具体例エンジンの燃焼技術、小型化技術迅速な配送体制、効率的な開発フロー
イメージ「点」や「部品」の強さ「線」や「仕組み」の強さ

組織能力(ケイパビリティ)との境界線

たとえば、あるメーカーが「高性能なバッテリー」を作れるなら、それはコアコンピタンスです。一方で、「顧客の要望を聞いてから3日で試作品を届ける仕組み」があるなら、それはケイパビリティです。

弊社の見解として、現代のビジネスではこの両方を掛け合わせることが不可欠です。技術(コアコンピタンス)だけでは、すぐに安価な代替品に追いつかれます。仕組み(ケイパビリティ)をセットにすることで、初めて長期的な防壁(参入障壁)が築けます。

コアコンピタンス分析の具体的な手順

コアコンピタンスを特定する手順は、自社の強みを棚卸しし、それを客観的なフレームワークで評価する流れで行います。

手順を構造化すると、以下の3つのステップになります。

ステップ1:自社の強みを徹底的に棚卸しする

自社の強みを棚卸しするとは、部門や製品の枠を超えて、自社が持つ有形・無形の資産をすべて書き出す作業のことです。

  • 技術・ノウハウ
    独自の設計技術、特許、長年培った加工精度など。
  • 顧客・販売網
    特定業界との深いパイプ、全国を網羅する保守体制など。
  • 組織・文化
    異常なほどの納期遵守意識、失敗を許容する開発風土など。 まずは「これはコアではない」と決めつけず、現場の声を広く集めることが重要です。

ステップ2:VRIO分析で「真の強み」を評価する

VRIO分析とは、棚卸しした強みを「経済価値」「希少性」「模倣困難性」「組織」の4つの指標で格付けする手法です。

  • Value(経済価値)
    その強みは、市場の機会を活かし、脅威を回避できるか。
  • Rareness(希少性)
    競合他社はその強みを持っていないか。
  • Imitability(模倣困難性)
    他社が真似しようとしても、多額の費用や時間がかかるか。
  • Organization(組織)
    その強みを活かすための組織体制や仕組みが整っているか。 特に「模倣困難性(真似しにくさ)」が高いものほど、長期的なコアコンピタンスになる可能性が高まります。

ステップ3:3条件に照らしてコアコンピタンスを特定する

最後に、VRIOで高評価を得た項目が、提唱者ハメル氏が定義した「コアコンピタンスの3条件」を満たしているかを確認します。

  • 展開力
    その強みを使って、全く別の製品や新しい市場に進出できるか。 これらすべてに合致したものが、貴社が進むべき道を指し示す「核」となります。
  • 顧客価値
    その強みは、最終製品を買う顧客にとっての「決定的な魅力」に直結しているか。
  • 模倣困難性
    ライバル企業が簡単には追いつけない独自性があるか。

多くの現場では、この分析を一過性のイベントで終わらせてしまいます。しかし、市場環境が変われば、今日のコアコンピタンスが明日には「当たり前の機能」に成り下がります。少なくとも年に一度は、この分析プロセスを回し、自社の立ち位置を再確認することをおすすめします。

国内外の企業におけるコアコンピタンス例

優れた企業は、自社の核となる技術(コアテクノロジー)を定義し、それを驚くほど多様な製品へと進化させています。

具体的な展開例を見ることで、自社の強みをどう活かすべきかのヒントが得られます。

Honda:小型エンジン技術から空の旅まで

Hondaサイトトップ画像
画像引用:Honda

Hondaのコアコンピタンスは、極めて高い燃焼効率と信頼性を誇る「小型エンジン技術」にあります。

  • 背景: オートバイのエンジン開発で培った高回転・高出力の技術。
  • 展開: その技術を芝刈り機、除雪機、耕運機などのパワープロダクツへ応用し、さらに自動車の低公害エンジン「CVCC」で世界を驚かせました。
  • 最新の成果: 現在ではその設計思想をジェットエンジンにまで昇華させ、「ホンダジェット」として空の市場でも成功を収めています。

富士フイルム:写真フィルムから医療・化粧品への劇的転換

画像引用:富士フイルム ASTALIFT

富士フイルムのコアコンピタンスは、写真フィルム開発で培った「高度な膜形成技術」と「コラーゲン研究、抗酸化技術」です。

  • 背景: デジタル化により主力だった写真フィルム市場が消失する危機に直面。
  • 展開: フィルムの主原料である「コラーゲン」の知見をスキンケア(アスタリフト)へ、ナノレベルの配合技術を医薬品や高機能材料(液晶ディスプレイ用フィルム)へ転用しました。
  • 成果: 既存の技術資産を全く異なる成長市場へ再定義することで、世界でも稀な業態転換に成功しました。

3M(スリーエム):45以上の技術プラットフォームの掛け合わせ

3Mのコアコンピタンスは、研磨剤や接着剤など「45以上の基盤技術(テックプラットフォーム)」と、それらを自由に組み合わせる組織文化にあります。

  • 背景: 砥石(といし)の製造から始まった同社は、粘着や不織布など特定の技術を深掘りし続けました。
  • 展開: 接着技術を「ポスト・イット」のような文具にする一方で、医療用のサージカルテープや、自動車の軽量化に貢献する特殊素材へと展開しています。
  • 成果: 一つの製品に依存せず、社内の技術資産を絶えず「シェア」し続けることで、毎年数千の新製品を生み出し続けています。

これらの事例から学べるのは、コアコンピタンスとは特定の「製品」そのものではなく、製品の背後にある「目に見えない技術の蓄積」であるということです。自社の製品を分解し、その根底にある共通の技術は何かを探ることが特定への近道です。

コアコンピタンス分析を形骸化させない社内調整

コアコンピタンス分析を実務に活かすための最大の壁は、社内の既存勢力が持つ「思い込み」を打破することにあります。

上層部や古くからの社員が「わが社の強みはこれだ」と信じ込んでいるものが、現代の市場ではすでに価値を失っているケースは珍しくありません。形骸化を防ぐためのコツは、以下の2点です。

  • 「外の目」をデータで持ち込む
    内部の議論だけでなく、顧客アンケートや競合比較、知財分析などの客観的なデータを突き合わせ、事実ベースで強みを判定します。
  • 他部門の資産を借りる交渉
    分析で特定された強みが他部署にある場合、新規事業担当者は「資産を奪う」のではなく「全社的な資産を有効活用する」というスタンスで、全社的なメリット(投資対効果)を提示して合意形成を図ります。

コアコンピタンスの特定後に「それを誰が管理し、誰が使えるようにするか」というルールが決まっていない企業は失敗します。強みを特定するだけでなく、それを全社でシェアできる環境を整えることがセットで重要です。

「コアコンピタンスは古い」という誤解と対策

「コアコンピタンス」という言葉は1990年代に生まれましたが、その重要性は古くなるどころか、デジタル時代においてさらに増しています。

市場の変化が激しい現代では、一つの強みに固執するのではなく、強みを組み替えたり再定義したりする「ダイナミック・ケイパビリティ」が求められます。

  • デジタル・プラットフォームへの応用
    物理的な技術だけでなく、自社が持つ「顧客データ」や「独自のマッチングアルゴリズム」をコアコンピタンスとして再定義し、プラットフォーム事業へ転換する動きが加速しています。
  • 古い技術の「組み合わせ」
    単一の技術が古くなっても、別の技術や外部パートナーの能力と掛け合わせることで、全く新しい市場価値を生み出すことができます。

「コアコンピタンスは古い」と切り捨てるのではなく、現代のITやプラットフォーム戦略に合わせて、自社の核を「再定義」する柔軟な姿勢が、生き残りのための最大の対策となります。

コアコンピタンス分析に関するよくある質問

  1. Q. 自社の強みが一つも見つからない場合はどうすればよいですか?

    A. 強みがない企業は存在しません。自社にとっては「当たり前」すぎて気づいていないことが多いです。顧客から選ばれている理由をヒアリングしたり、競合他社が嫌がっている自社の特徴を探したりすることで、隠れたコアコンピタンスが見えてきます。

  2. Q. 分析を外部に委託するメリットは何ですか?

    A. 「社内の常識」に囚われない客観的な視点を得られることです。また、フレームワークの活用に慣れた専門家が介在することで、感情的な議論を排し、事実に基づいた鋭い分析が可能になります。

  3. Q. 分析結果をどのように新規事業の企画書に落とし込むべきですか?

    A. 「なぜ他社ではなく、わが社がこの事業をやるのか(Why Us?)」の根拠として記載します。特定したコアコンピタンスをどう活用すれば、競合に対して優位性を築け、成功率が高まるのかをロジカルに説明してください。

  4. Q. 数年で市場が変わる中、コアコンピタンスを維持するコツはありますか?

    A. コアコンピタンスを「固定されたもの」と考えないことです。核となる技術を常に磨き直すと同時に、周辺の新しい技術を取り入れ、変化に合わせて進化させていく「進化型コアコンピタンス」の視点を持ってください。

  5. Q. VRIO分析だけで十分ではないのですか?

    A. VRIO分析は「現在の強み」を評価するのに優れていますが、コアコンピタンス分析は「将来の多角化や成長性」に重点を置きます。現在の優位性を確認した上で、それが他の市場にも通用するかを考えるために、両方を組み合わせるのがベストです。

まとめ|自社の強みを「見える化」し、成長を加速させる仕組み

コアコンピタンス分析によって自社の真の強みを特定したとしても、その資産がどこにあるか分からなかったり、特定の部署に閉ざされていたりしては意味がありません。特定した強み(スキル、データ、機材、ノウハウ)を社内の誰でも活用できるようにすることが、事業成長の真のスタート地点です。

弊社の社内資産シェアプラットフォーム構築サービスは、特定したコアコンピタンスを全社で効率的に共有・活用するための最適な基盤を提供します。

  • 埋もれた資産のカタログ化: 各部署に散在する独自のノウハウや技術資産を「見える化」し、新規事業担当者が即座にアクセスできる環境を構築します。
  • 部署を超えたマッチング: 「この技術を貸してほしい」というニーズと、「この強みを提供できる」という供給を社内マッチングさせ、イノベーションを加速させます。
  • 資産活用のルール作りを支援: 単なるシステム提供に留まらず、800件以上の実績に基づいた、資産提供側・活用側双方が納得する運用の仕組み作りまでサポートします。

「分析して終わり」にするのではなく、特定した自社の強みを、具体的な収益を生むための「動く資産」に変えませんか?貴社のコアコンピタンスを最大限に引き出すための最適なシステム構成をご提案します。

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