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ABMとは?意味・戦略の立て方・MAとの違いと実践ステップを解説
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「リード数は増えているのに受注につながらない」「大手企業へのアプローチが属人的になっている」——そんな課題を抱えるB2Bマーケターが近年注目しているのが、ABM(アカウントベースドマーケティング)です。
従来のインバウンドマーケティングや広い網を投げるリード獲得施策とは根本的に発想が異なり、最初から「攻略すべき企業」を絞り込んでマーケティングと営業が一体となって動くアプローチです。
本記事では、ABMの意味・定義から、ターゲットアカウント選定・戦略設計・KPI・おすすめツール・成功事例まで、実践的な視点で体系的に解説します。
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目次
ABMとは何か

ABM(Account-Based Marketing=アカウントベースドマーケティング)とは、自社の製品・サービスにとって価値の高い特定の企業(アカウント)をターゲットに絞り、マーケティングと営業が連携しながら高度にパーソナライズされたアプローチを展開するB2Bマーケティング手法です。
「アカウント(Account)」とは、ここでは個人ではなく企業・組織単位を指します。個人リードを大量に集めてスコアリングで絞り込む従来型のアプローチとは逆に、ABMは「まず攻略する企業を選ぶ」ところから始まります。
ABMが生まれた背景
ABMの概念はB2Bマーケティングの世界では2000年代初頭から存在しましたが、SalesforceやMarketoなどのMAツール・CRMツールが普及した2010年代後半に急速に広まりました。
日本では一般社団法人日本BtoB広告協会や各種マーケティング調査機関がB2Bマーケティングの高度化を提唱するなか、特に複数の意思決定者が関わる大型商談・エンタープライズ営業の効率化を目的としてABMへの関心が高まっています。
ABMと従来型マーケティングの違い
リード中心 vs アカウント中心
従来のB2Bマーケティングは「個人リードを獲得して育成する」モデルです。ABMはこれとは逆に、「企業(アカウント)を起点に、その中のキーパーソンに働きかける」モデルです。
| 比較軸 | 従来型マーケティング | ABM |
|---|---|---|
| 起点 | 個人リード | ターゲット企業(アカウント) |
| 対象規模 | 幅広い(数百〜数万件) | 絞り込み(数十〜数百社) |
| コンテンツ | 汎用的 | 企業・業種に合わせてパーソナライズ |
| 営業との関係 | マーケが渡したリードを営業が対応 | マーケと営業が最初から共同で設計 |
| 成果指標 | リード数・MQL数 | パイプライン金額・受注率・LTV |
| 向いているケース | SMB向け・標準化商材 | エンタープライズ向け・高単価商材 |
ABMとMAの違い
MAツール(マーケティングオートメーション)は「リードを自動育成する仕組み」であるのに対し、ABMは「どのアカウントにどんなアプローチをするかの戦略・設計思想」です。
ABMとMAは対立する概念ではなく、MAをABMの実行基盤として活用するのが現代の標準的な運用です。
ターゲットアカウントリストをMAに取り込み、パーソナライズされたメールシナリオや広告配信を自動化することで、ABMの実行効率が大幅に高まります。
ABMの3つの種類
ABMは対象アカウント数と投資規模によって3段階に分類されます。自社のリソースや目標に合わせて適切な型を選ぶことが重要です。
① 1対1型(ストラテジックABM)
対象アカウントを5〜20社程度に絞り、1社ごとに完全にパーソナライズされた戦略を設計します。専用のコンテンツ制作・カスタマイズされた提案資料・専任チームの設置などが必要で、最も手厚いアプローチです。
大型案件(数千万〜数億円規模)や、1社が受注できれば大きなインパクトになるケースに適しています。
② 1対少数型(ABMライト / クラスター型)
20〜200社程度の類似アカウントをグループ化し、業種・課題・規模ごとにパーソナライズしたアプローチを展開します。完全1対1ほどのリソースをかけずに、ある程度のカスタマイズを実現できます。
成長企業や中堅企業向けの商材で、ある程度の標準化が可能なケースに向いています。
③ 1対多型(プログラマティックABM)
200社以上のターゲットアカウントリストを作成し、テクノロジー(MA・DMP・広告配信プラットフォーム)を使って自動的にパーソナライズされたメッセージを届けます。
SMBから中堅企業をターゲットにする場合や、ABM施策の入り口として取り組みやすい形です。
ABMの実践ステップ【5段階】
Step1:ターゲットアカウントの選定(ICP定義)
ABMの成否は最初のアカウント選定で7割が決まると言っても過言ではありません。
まずICP(Ideal Customer Profile=理想顧客プロファイル)を定義します。
| 要素 |
| ①業種・業界(ターゲット業界の絞り込み) |
| ②企業規模(従業員数・売上規模) |
| ③地域・拠点数 |
| ④現在の技術環境(使用中のツール・システム) |
| ⑤既存顧客の中でLTVが高い・解約率が低い・拡販しやすい企業の共通項 |
ICPが定義できたら、既存の商談データ・顧客データ・外部データベース(帝国データバンク・企業四季報等)をもとにターゲットリストを作成します。
Step2:アカウントインサイトの収集
ターゲット企業の「今の課題・優先事項・意思決定構造」を把握します。
- 定量情報:決算情報・採用動向・プレスリリース・IR資料
- テクノグラフィクス:どのツールを導入しているか(SimilarTech等で調査可能)
- インテントデータ:競合比較や関連キーワードを検索しているかどうか
- 社内情報:営業担当が持っているリレーション情報・過去の商談履歴
Step3:マーケティング・営業の連携設計(Smarketing)
ABMの最大の特徴は「マーケティングと営業が最初から一つのチームとして動く」点です。この連携をSmarketing(スマーケティング)と呼びます。
※Sales+MarketingでSmarketing
具体的には以下を合意します。
- ターゲットアカウントリストの共有・承認
- 各アカウントの「攻略担当者(営業)」の割り当て
- アカウントへのタッチポイント(広告・メール・イベント・訪問等)の役割分担
- 情報共有ルール(CRMへの入力項目・頻度)
Step4:パーソナライズされたコンテンツ・施策の実行
ターゲットアカウントの課題・業種・フェーズに応じたコンテンツを制作・配信します。
- 広告:アカウントリストに基づいたターゲティング広告(LinkedIn広告・ディスプレイ広告)
- メール:業種・課題別にパーソナライズされたメールシナリオ
- コンテンツ:業界別ホワイトペーパー・導入事例・ROIシミュレーター
- イベント:ターゲット企業の担当者を招いたエグゼクティブラウンドテーブル・個社向けセミナー
Step5:KPI測定・PDCAの実行
ABMのKPIは従来のリード数・MQL数ではなく、アカウント単位の進捗・パイプライン・受注インパクトで評価します。
ABMのKPI設計【主要指標一覧】
| KPIカテゴリ | 具体的な指標 | 計測タイミング |
|---|---|---|
| エンゲージメント | ターゲットアカウントのコンテンツ閲覧率・広告CTR | 施策実行中 |
| パイプライン | ターゲットアカウントからの商談化率・パイプライン金額 | 四半期ごと |
| 受注 | ターゲットアカウントの受注率・平均受注単価 | 半期・年次 |
| 顧客化後 | アカウントのLTV・アップセル率・解約率 | 年次 |
| 連携品質 | 営業のCRM入力率・商談化までのリードタイム | 月次 |
ABMが「失敗しやすいパターン」と根本原因
ここでは実務的な視点から、ABMが頓挫する3つの根本原因を解説します。
失敗パターン①:ICPが曖昧なままリストを作った
「とりあえず上位100社に送る」という発想でABMを始めると、パーソナライズの根拠がなくなり、結果的に従来の一斉メールと変わらない施策になります。ICP定義に時間をかけることを「コスト」ではなく「投資」と捉えることが重要です。
失敗パターン②:営業が「マーケからのリスト」として受け取った
ABMはマーケティング部門が施策して営業に渡す「引き継ぎ型」ではなく、最初から営業がICP定義とアカウント選定に参加する「共同設計型」でなければ機能しません。営業が「自分たちで選んだアカウント」と認識することが、コミットメントの源泉になります。
失敗パターン③:短期でKPIを評価しようとした
ABMのターゲットは高LTV・高単価アカウントが多く、商談サイクルが6ヶ月〜2年になるケースもざらです。四半期ごとのリード数目標でABMを評価すると「成果が出ない」と判断され中断されます。ABM専用の評価基準と時間軸を事前に経営層と合意しておくことが不可欠です。
ABM導入で活用できるおすすめツール
| ツールカテゴリ | 代表的なツール | 主な用途 |
|---|---|---|
| MA(マーケティングオートメーション) | Marketo・Salesforce Marketing Cloud・SATORI | アカウントリスト管理・パーソナライズ配信・スコアリング |
| CRM | Salesforce・HubSpot・Microsoft Dynamics | アカウント情報管理・営業活動の記録・連携 |
| ABM専用プラットフォーム | Demandbase・RollWorks・6sense | インテントデータ収集・アカウント広告・エンゲージメント計測 |
| データ整備・名寄せ | ユーソナー(uSonar)・FORCAS・Sansan | 企業データの統合・名寄せ・ターゲットリスト精度向上 |
| 広告配信 | LinkedIn広告・Google広告(カスタマーマッチ) | アカウントリストに基づくターゲティング広告 |
ビジネスマッチングプラットフォームの構築など、自社でデジタルチャネルを持つことがABMの実行基盤になるケースもあります。既存チャネルと並行してプラットフォームを活用する戦略については、ビジネスマッチングサイトのおすすめと活用法で詳しく解説しています。
ABM成功事例
事例①:SaaS企業がエンタープライズ転換にABMを活用
中規模SaaS企業がSMB中心のビジネスモデルからエンタープライズへの転換を目指し、ABMを導入。売上上位10%の既存顧客のICPを定義し、類似企業200社のターゲットリストを作成。業種別の導入事例コンテンツとLinkedIn広告を組み合わせ、6ヶ月でターゲットアカウントからの商談化率が導入前比で約2倍に改善しました。
事例②:製造業メーカーが新規開拓にABMを適用
製造業の部品メーカーが、過去に受注実績のある優良顧客と類似する企業をターゲットアカウントとして設定。決算情報・設備投資動向・採用情報を組み合わせたインサイトをもとに、営業とマーケが共同でアプローチシナリオを設計。展示会後のフォローをパーソナライズすることで、商談化までのリードタイムを平均3ヶ月短縮しました。
ABMに関するよくある質問
Q1. ABMはどんな企業に向いていますか?
A.高単価・長期商談・複数意思決定者が関わるB2B商材を持つ企業に特に向いています。
具体的には、平均受注単価が500万円以上、営業サイクルが3ヶ月以上、意思決定に関与する担当者が3名以上いるようなケースがABMの恩恵を最も受けやすい条件です。逆に、低単価・短期商談のSMBビジネスや、標準化されたECモデルにはABMのオーバーヘッドが見合わない場合があります。Q2. ABMを始めるのに最低限必要なものは何ですか?
①ICPの定義、②ターゲットアカウントリスト(50〜100社程度)、③営業とマーケの合意、④CRMの整備、の4つが最低限の出発点です。
高額な専用ツールがなくても、ExcelのアカウントリストとSalesforceやHubSpotのような汎用CRMがあれば小さく始められます。ツールへの投資は施策の方向性が固まってから行うほうが無駄が少ないです。Q3. ABMとSBM(セグメントベースドマーケティング)の違いは何ですか?
粒度が異なります。ABMは企業単位、SBMは業種・規模などのセグメント単位です。
SBMは特定の業種や規模感のセグメントに向けてコンテンツや施策を最適化するアプローチで、ABMよりも粒度が粗い分スケールしやすいです。ABMの「1対少数型(クラスター型)」はSBMと考え方が近く、ABMの入り口としてSBMから始める企業も多くあります。Q4. ABMのKPIで最初に設定すべき指標は何ですか?
「ターゲットアカウント商談化率」と「パイプライン金額(ターゲットアカウント起因)」の2つを最優先で設定することを推奨します。
リード数や訪問数といった活動量指標ではなく、アカウント単位で商談が生まれているかどうかを計測することがABMの本質的な進捗確認になります。6〜12ヶ月単位で評価し、受注率・LTVへの影響を四半期ごとにレビューする体制を整えましょう。
ABMは「絞り込む勇気」が競争優位を生む
ABMとは、幅広くリードを集める発想をいったん手放し、「この企業と取引したい」というターゲットを先に決め、マーケティングと営業が一体となってアプローチするマーケティング思想です。
短期のリード数増加を追うのをやめ、LTVの高いアカウントとの深い関係構築に投資することで、中長期的な受注の質と安定性が高まります。
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