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デザイン思考で新規事業を成功に導く方法とは?5つのプロセスと実践事例
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新規事業の立ち上げで、こんな経験はないでしょうか。「社内の意見をまとめたら、市場のニーズとずれていた」「プロトタイプを作ったら使いにくいと言われた」「アイデアは出るのに、どれを進めるべきか判断できない」——。
これらの失敗に共通するのは、「顧客の課題から出発していない」という点です。デザイン思考は、この根本的な問題を解決するための思考法として、国内外の企業で新規事業開発に採用されています。
この記事では、デザイン思考の概念・5つのプロセス・新規事業への実践的な活用方法と、国内外の具体的な企業事例を詳しく解説します。
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目次
デザイン思考とは何か

デザイン思考(Design Thinking)とは、デザイナーが問題を解決する際に用いる思考プロセスを、ビジネスや組織の課題解決に応用した方法論です。
特定の答えを持たない複雑な問題に対して、ユーザーへの深い共感を出発点に、アイデアを反復的に試しながら解決策を見つけていく手法です。
この考え方を体系化し、世界に広めたのが米国スタンフォード大学のd.school(ハッソ・プラットナー・デザイン研究所)と、デザインコンサルタント会社のIDEOです。IDEOのティム・ブラウンは、Harvard Business Review(2008年)の論文でデザイン思考をビジネスフレームワークとして定義し、広く普及するきっかけをつくりました。
従来の問題解決手法との違い
従来のビジネス上の問題解決は「分析→仮説→検証」という論理的アプローチが中心でした。デザイン思考はこれと根本的に異なります。
| 比較軸 | 従来の問題解決 | デザイン思考 |
|---|---|---|
| 出発点 | データ・分析・目標 | ユーザーの体験・感情・課題 |
| プロセス | 直線的(計画→実行) | 反復的(試す→学ぶ→改善する) |
| 正解の扱い | 一つの最適解を求める | 複数の可能性を試す |
| 失敗の位置づけ | できるだけ避けるもの | 早期に学ぶための手段 |
| 誰が解決するか | 専門家・上位層 | 多様なチームが共同で |
デザイン思考の最大の特徴は、「答えを探す前に、本当の問いを見つける」という姿勢です。
なぜ新規事業にデザイン思考が有効なのか
新規事業開発における最大のリスクは「作ったが誰も使わなかった」という市場ニーズとのミスマッチです。
経済産業省「DXレポート2.2」では、デジタルを活用した新事業創出において、顧客起点の設計が成功の鍵であると指摘されています。デザイン思考はまさに、このニーズミスマッチを起こさないための構造を持っています。
具体的には、以下の理由から新規事業との相性が高い手法です。
- 顧客インサイトから出発するため、需要のない事業を作るリスクが下がる
- 早期のプロトタイプと検証で、大きな投資前に方向修正できる
- 正解のない不確実な市場でも、学習を積み重ねながら前進できる
- 組織横断のチームで取り組むことで、縦割りの壁を超えた発想が生まれる
デザイン思考の5つのプロセス
スタンフォードd.schoolが整理したデザイン思考のプロセスは5段階で構成されます。これは一方通行の手順書ではなく、必要に応じて前のステップに戻る反復的なサイクルとして機能します。
ステップ1:共感(Empathize)
ユーザー・顧客・当事者を深く理解することからすべてが始まります。アンケートや定量データの収集ではなく、インタビュー・観察・体験を通じて、表面には出ていない感情・行動・文脈を探ります。
新規事業での実践ポイント:
- 想定ターゲットに対して1対1のインタビューを最低5〜10件実施する
- 「なぜそうするのか」を繰り返し深掘りし、表面的な不満の背後にある根本課題を探る
- 観察記録(写真・メモ・行動記録)を取り、チーム全員で共有する
よくある失敗: 「自分たちの想定ユーザーのことは分かっている」と思い込み、共感フェーズをスキップしてしまうこと。これがニーズミスマッチの最大の原因になります。
ステップ2:問題定義(Define)
共感フェーズで集めた情報を整理し、「ユーザーは本当は何に困っているのか」という問いを言語化します。この問いが曖昧だと、後のアイデアが的外れになります。
新規事業での実践ポイント:
- 「〇〇な人は、△△したい。なぜなら□□だから」という形式で問いを整理する
- インタビューで出てきた発言・感情・行動をカードに書き出し、アフィニティマッピングで共通のパターンを見つける
- 現状(AS-IS)と理想(TO-BE)のギャップを明確にすることも有効です。
AS-IS/TO-BE分析の詳しい方法はこちらをご参照ください。
よくある失敗: 問題定義が「売上を増やしたい」「競合に勝ちたい」という内部視点になってしまい、ユーザー視点の問いにならないこと。
ステップ3:アイデア創出(Ideate)
問いが定まったら、解決策のアイデアを広げます。「実現可能かどうか」を一旦脇に置き、量を重視して多様なアイデアを出すフェーズです。
新規事業での実践ポイント:
- ブレインストーミングでは「批判しない・量を優先・他者のアイデアを発展させる」というルールを徹底する
- 「もし〇〇だったら?」という問いかけで非常識な発想を引き出す
- 出てきたアイデアを「実現可能性」×「ユーザーへの影響度」でマッピングして優先順位をつける
よくある失敗: 最初から「現実的なアイデア」に絞りすぎて、発想の幅が狭くなること。イノベーションは多くの場合、一見非現実的なアイデアの延長線上に生まれます。
ステップ4:プロトタイプ作成(Prototype)
選んだアイデアを、低コスト・短期間で形にします。完成品を作るのではなく、「ユーザーに見せて反応を確認するための試作品」を素早く作ることが目的です。
新規事業での実践ポイント:
- 紙のモックアップ・パワーポイントのワイヤーフレーム・段ボールの試作品など、コストをかけずに作る
- 「このプロトタイプで何を検証したいのか」という仮説を先に明確にしておく
- プロトタイプは一つに絞らず、複数のバリエーションを同時に試す
よくある失敗: 「ちゃんとしたものを作ってから見せよう」と完成度にこだわりすぎて、フィードバックを得るのが遅くなること。デザイン思考では「早く失敗して、早く学ぶ」ことが原則です。
ステップ5:テスト(Test)
プロトタイプを実際のユーザーに触れてもらい、リアルなフィードバックを集めます。テストは評価ではなく、「さらに深く理解するための共感の場」として設計します。
新規事業での実践ポイント:
- ユーザーが使う様子を観察し、つまずく箇所・自然に使えている箇所を記録する
- 「どう思いましたか?」より「〇〇する時、どんな気持ちでしたか?」と具体的に聞く
- フィードバックによっては、ステップ1や2に戻って問いを再定義することを恐れない
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デザイン思考を新規事業に導入する3つのパターン
デザイン思考は「手法」であり、導入の仕方は組織の状況によって異なります。代表的な3つのパターンを紹介します。
パターン1:ワークショップ型(短期集中)
2〜5日間の集中ワークショップ形式で、デザイン思考の全プロセスを体験します。新規事業のテーマを事前に設定し、外部ファシリテーターを招いて実施するケースが多いです。
向いている状況: 初めてデザイン思考を取り入れる組織・経営層への理解促進・特定テーマの新規事業の初期探索
注意点: ワークショップで終わり、実務に活かされないケースが多い。「ワークショップ後の次のアクション」を必ず決めておくことが重要です。
パターン2:プロジェクト組み込み型(中期)
既存の新規事業開発プロジェクトの中に、デザイン思考のプロセスを組み込むパターンです。
向いている状況: 特定の新規事業テーマが決まっており、顧客理解から始めたい場合・既存のウォーターフォール型開発からの転換
注意点: 各ステップで「どれだけ時間をかけるか」のバランスが難しい。特に共感フェーズを十分に取ることが成功率を高めます。
パターン3:組織変革型(長期)
デザイン思考を組織の思考習慣として根付かせるパターンです。専門チームの設立・社内トレーナーの育成・人事評価への組み込みなど、制度設計が伴います。
向いている状況: デジタル変革・イノベーション創出を長期目標に掲げる大企業・DX推進チームの立ち上げ期
注意点: 変化に抵抗する既存文化との摩擦が生じやすい。経営トップのコミットメントが不可欠です。
企業によるデザイン思考の実践事例
Apple:ユーザー体験を起点にした製品設計

Appleはスティーブ・ジョブズの時代から一貫して「技術よりも体験」を中心に製品を設計してきました。iPhoneの開発では、ボタンを排してタッチスクリーン一枚に統合するという当時の常識を覆す発想も、「ユーザーが直感的に使えること」を最優先にした共感・定義のプロセスから生まれたとされています。
ティム・ブラウン(IDEO)のTEDトークでは、Appleのアプローチを「デザイン思考の実践そのもの」と評しています。
Airbnb:危機をデザイン思考で乗り越えた事例

Airbnbは2009年、創業初期に深刻な資金難に直面しました。サービスの成長が止まった原因を探るため、創業者たちはニューヨークのホストに直接会い、物件の写真を自分たちで撮り直すという行動を取ります。
その結果、「写真の質が低いため旅行者が予約をためらっていた」という本質的な課題を発見。プロのカメラマン派遣という解決策を実行したことで、ニューヨークの売上が翌週に倍増しました。小さな観察と行動から事業の転換点を見つけたこの経験は、デザイン思考の典型的な実践例として世界で引用されています。
【構築事例】日本セック株式会社:中小製造業の課題から生まれたプラットフォーム「シェアプラ」

LED表示板などの製造を手がける日本セック株式会社は、自社を含む中小製造企業が新規事業を始める際に直面する「コスト・スキル・時間の壁」を解決するために、企業間でリソースとスキルをシェアできるプラットフォーム「シェアプラ」を立ち上げました。
このサービスは、「1社で完結しようとすると新規事業の壁は高い。他社と組めば解決できるのではないか」という課題起点の問いから生まれています。工場機器のシェアリング・スキルのマッチング・販路の共有という複数の機能を束ねることで、企業同士がつながる仕組みを設計。登録無料で企業が参加しやすい設計にしている点も、ユーザー(中小企業)の参加ハードルを下げることを意識したものです(シェアプラの事例詳細はこちら)。
自社の現場課題を起点に、ユーザー(他の中小製造企業)の困りごとを深く観察・定義し、プロトタイプ的にサービスを設計した過程は、デザイン思考の実践そのものといえます。
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GEヘルスケア:医療現場の観察から生まれた製品改善

GEヘルスケアのエンジニアチームは、MRI検査室で子どもたちが泣き叫んでいる光景を目撃したことをきっかけに、検査装置のデザインを根本から見直しました。冷たい無機質な機械という印象を変えるため、MRIの筐体を「海賊船の冒険」「宇宙旅行」などのストーリーに基づいてデザインし直した結果、小児患者の鎮静剤使用率が大幅に低下し、患者・家族の満足度が向上しました。この事例はIDEOとの共同プロジェクトとして広く知られており、観察(共感)の力がイノベーションにつながった典型例です。
デザイン思考が失敗する5つのパターンと回避策
デザイン思考の導入が期待通りの成果を生まない場合、多くは以下のパターンに当てはまります。
パターン①:共感フェーズをスキップする
「ユーザーのことは分かっている」「データがあるから大丈夫」と判断し、インタビューや観察を省略するケースです。
回避策: どんなに知っているつもりでも、最低5件の直接インタビューを義務化する。仮説の確認ではなく、新たな発見を求める姿勢でインタビューに臨む。
パターン②:プロセスを儀式化してしまう
「デザイン思考のフレームを埋めること」が目的化し、ユーザーの本質的な課題よりもワークシートの完成を優先してしまうケースです。
回避策: ワークショップの成果物(ポストイット・カード)ではなく「ユーザーについて何を発見したか」を問う。フォームを埋めることより、問いの質を評価する文化をつくる。
パターン③:プロトタイプを完成品として作ろうとする
「完成度が低いものは見せられない」という意識から、プロトタイプに過剰な時間・コストをかけてしまうケースです。
回避策: 「このプロトタイプで検証したい仮説は何か」を最初に決め、その検証に必要な最小限の質で作ることをルール化する。紙・付箋・ホワイトボードで十分なことが多い。
パターン④:テストの結果を無視する
ユーザーから「使いにくい」「刺さらない」というフィードバックをもらっても、社内の既定路線を変えずに突き進むケースです。
回避策: テストは「評価してもらう場」ではなく「学ぶ場」として設計する。フィードバックを受け取るルールとして「防衛せず、黙って観察する」を徹底する。
パターン⑤:ワークショップ後に何も変わらない
2日間のワークショップで大いに盛り上がったにもかかわらず、翌週には日常業務に戻り、アウトプットが活用されないケースです。
回避策: ワークショップの最後に「翌週のアクション・担当者・期限」を必ず決める。経営層が次のステップに予算と権限を与える約束をしてから始める。
デザイン思考・アジャイル・リーンスタートアップの違いと使い分け
新規事業文脈でよく一緒に語られる3つの手法の違いを整理します。
| 手法 | 主な目的 | 出発点 | 適した段階 |
|---|---|---|---|
| デザイン思考 | 本質的な問いを見つけ、解決策を探索する | ユーザーの共感・観察 | 問題定義・アイデア探索 |
| アジャイル | ソフトウェア開発を短いサイクルで反復する | 要件・優先順位 | 開発・実装 |
| リーンスタートアップ | 最小限の製品で仮説を検証し、事業の方向性を決める | ビジネス仮説 | 事業検証・ピボット |
3つは対立するものではなく、新規事業開発の流れの中で段階的に使い分けるのが効果的です。「デザイン思考で問いと解決の方向性を見つけ→リーンスタートアップでMVPを検証し→アジャイルでプロダクトを開発する」という連携が、実務では一般的になっています。
デザイン思考に関するよくある質問
Q. デザイン思考とは何ですか?
A. ユーザーへの深い共感を出発点に、問題の本質を定義し、アイデアの創出・プロトタイプ・テストを反復しながら解決策を見つける思考法です。スタンフォード大学のd.schoolやデザインコンサルタント会社のIDEOが体系化し、ビジネスや新規事業開発に広く活用されています。
Q. デザイン思考の5つのプロセスは何ですか?
A. ①共感(Empathize)→ ②問題定義(Define)→ ③アイデア創出(Ideate)→ ④プロトタイプ(Prototype)→ ⑤テスト(Test)の5段階です。一方通行ではなく、テストの結果を受けて問題定義や共感フェーズに戻る反復プロセスです。
Q. デザイン思考はどんな企業・組織に向いていますか?
A. 規模・業種を問わず活用できます。特に「顧客のニーズがわからない」「新規事業のアイデアが市場とかみ合わない」「チームが縦割りでイノベーションが生まれにくい」という課題を持つ組織に有効です。大企業のDX推進から中小企業の新規事業開発まで、幅広い文脈で採用されています。
Q. デザイン思考とアジャイル開発は何が違いますか?
A. デザイン思考は「どんな問題を解くべきか・どんな解決策が有効か」を探索する段階に強みがあります。アジャイルは「決めた方向性でどうプロダクトを開発するか」に向いています。新規事業では「デザイン思考で探索→アジャイルで開発」という流れで組み合わせることが多いです。
Q. デザイン思考を社内に導入するには何から始めればよいですか?
A. 最初のステップとして、小規模なワークショップ(1〜2日)を1つのテーマで試してみることが有効です。全社展開より前に「小さく試して成果を見せる」ことで、組織の理解と支持を得やすくなります。外部ファシリテーターを使うことで、初回の進行をスムーズにできます。
Q. デザイン思考の事例として有名な企業はどこですか?
A. グローバルな事例ではApple・Airbnb・GEヘルスケア・Uber・IBMなどが知られています。国内でも、製造業からDX推進、医療、教育まで幅広い業種での活用が増えています。共通するのは「技術やアイデアより先に、ユーザーの現場を観察した」という出発点です。
まとめ
デザイン思考は「顧客の課題から出発し、反復的に解決策を磨いていく」思考法です。新規事業開発においてニーズミスマッチや方向性のブレを防ぐ有効な手段として、現在も多くの企業に採用されています。
5つのプロセス(共感→定義→発想→プロトタイプ→テスト)は、順番通りにこなす手順書ではなく、何度でも行き来しながら学びを積み重ねる反復サイクルです。重要なのは「ユーザーと向き合う時間を惜しまない」という姿勢です。
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