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「デジタル田園都市国家構想」におけるシェアリングエコノミーの位置づけ
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デジタル田園都市国家構想は、人口減少や少子高齢化、産業空洞化などの社会課題を背景に、2021年に岸田内閣の下で始動しました。
この構想におけるシェアリングエコノミーは、持続可能な都市開発と社会経済の発展を促進する重要な要素として、政府の基本方針に組み込まれています。
本記事ではシェアリングエコノミーがデジタル田園都市国家構想において、どのような位置づけをされているかを解説するとともに、私達の未来の暮らしにどのような影響や相互作用をもたらすのかを一緒に見ていきましょう。
目次
‐ 1.シェアリングエコノミーの概要とその重要性
‐ 2.デジタル都市国家構想とは
‐ 3.デジタル田園都市国家構想におけるシェアリングエコノミー
‐ 4.シェアリングシティとは
‐ 5. デジタル田園都市国家構想とシェアリングシティの事例
‐ 6.まとめ
シェアリングエコノミーの概要とその重要性
まず、シェアリングエコノミーについておさらいしましょう。
シェアリングエコノミー(共有経済)とは、個人が保有するモノや場所、スキルなどをSNSやインターネットを通じて貸し出す仕組みのことを指します。
資源を効率的に利用することで無駄を省き、経済的な利益と社会的な繋がりを形成する機会が得られます。
その市場規模は2022年時点で「2兆6,158億円」を記録し、2032年度には「15兆1,165億円」に拡大することが予測されています。
持続可能な開発目標(SDGs)への貢献や経済波及効果が期待されていることからも、その重要度は年々増しています。
詳しくは本サイトの該当記事で解説しておりますので、以下のURLから御覧ください。
URL:https://service.customedia.co.jp/social/sharingeconomy-service/
デジタル田園都市国家構想とは
デジタル田園都市国家構想は、日本政府が推進している取り組みであり、デジタル技術を活用して地方の課題を解決し、持続可能な環境・社会・経済を実現することを目指しています。
その背景には、地方を中心に人口減少・少子高齢化、過疎化・東京圏への一極集中、地域産業の空洞化といった課題があります。
この構想の目的は、「心ゆたかな暮らし」(Well-Being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)を実現することです。
デジタル技術を活用して地方の課題を解決し、地域の活性化や持続可能な社会の実現を目指します。
具体的な取り組みとしては、デジタルインフラの整備を行い、高速インターネット環境や5G通信などのデジタルインフラの整備をして地方でも高品質なデジタルサービスが提供される環境を整えます。
これらはデジタル庁や関係省庁、地方自治体、民間企業などが協力して取り組んでおり、政府と地方の連携や民間企業との官民一体が重要視されています。
そして、この構想では取り組みの効果を検証し、成果を共有することも重要視されています。
地方の実証実験やモデル事業の実施などを通じて、デジタル技術の活用効果を明らかにし、結果を自治体や企業間で共有しています。
デジタル田園都市国家構想におけるシェアリングエコノミー
政府が掲げている、地方活性化における4つの重点のひとつに地方に「仕事をつくる」と挙げられています。
地方活性化において地元の経済を安定させることは重要であり、これを支える中小企業の生産性の向上や、地方から新たにビジネスを立ち上げたスタートアップが、その後にきちんと成長していけるよう、環境整備を整えることは必要不可欠です。
しかしながら、こういった中小企業やスタートアップは人材や資金に乏しく、十分なデジタル投資が出来ない、といった課題があります。
こうした状況を踏まえ、デジタル田園都市国家構想では、シェアリングエコノミーやPPP/PFI手法(公民が連携して公共サービスの提供を行うスキーム)を活用し、地域内外のリソースを有効活用する取り組みが推進されています。
例えば、地域の空きスペースひとつをとっても、それをシェアリングすることで、地域の活性化や新しい事業の創出が見込め、経済的な効果を生み出すことが期待できるでしょう。
さらにスキルのシェアを活用すれば、地方に暮らしながら地域外の仕事にチャレンジすることが可能となり、リモートワークの活用によって、地域の人々がより多様な働き方や収入源を得ることができます。
シェアリングエコノミーはこのような地方の中小企業のDX化を促進し、地域の活発な経済活動を支えることが望まれています。
シェアリングシティとは
シェアリングシティとは、上記のようなシェアリングエコノミーの考えに則ったシェアサービスを自治体のインフラに浸透させ、街全体の地域課題の解決に取り組む地域の事です。
世界では、韓国のソウルや、オランダのアムステルダムがシェアリングシティ先進都市として有名です。
・韓国 / ソウル
自転車、自動車、家、公共施設、箪笥、工具、屋上、駐車場、学校などの項目でシェア化の取り組みが行われており、シェアリング情報を共有するプラットフォーム、「シェアリングハブ」の展開や、シェアリングフェスティバルの開催、才能をシェアする大規模な講演会など、多伎にわたる事業を行っています。
・オランダ / アムステルダム
モノ、スペース、交通機関、輸送、通貨、食べ物、知識、なんと心配事までシェアする対象として項目化されています。そして100以上のP2Pプラットフォームがこれらのエコシステムを取り入れています。また、2017年には「シェアリングシティアライアンス」を立ち上げ、シェアリングエコノミーの領域で都市が直面する問題を世界の都市間で共有する事業も行っています。
デジタル田園都市国家構想とシェアリングシティの事例
それでは日本のシェアリングシティの現状はどうなっているのでしょうか。
日本ではシェアリングエコノミー協会の公式サイトから、取り組みを行っている自治体を検索することができます。
そのほかにも、デジタル田園都市国家構想の公式サイトの「デジ園メニューブック」から探すことも可能で、同サイトの開催している「Degi田甲子園」では全国から寄せられた多くの優れた事例が集められており、これらをを通してシェアリングシティの現状を伺い知ることが出来ます。
・Degi田甲子園とは
Degi田甲子園とはデジタル田園都市構想の実現に向けた地域の取り組みを募集し、とくに優れたものを表彰する取り組みです。全国各地の様々なアイデアを横展開で共有していくとともに、地方公共団体や民間企業の意欲を高め、国民全体に広く関心を持ってもらうことを目的にしています。
ここでは、Degi田甲子園とシェアリングエコノミー協会に寄せられた事例を2つ紹介いたします。
Degi田甲子園
ドローンを活用した地域課題可決実証事業(佐賀県多久市)
多久市では、ドローンを使った物流の実証事業が行われました。
「多久市まちづくり協議会かつやく隊」が中心となり、ドローンを活用して日用品や医薬品の物流配送を実証して、地域課題の解決を図っています。
限られたバッテリーで多くの配送を行えるよう、飛行ルート上にある土地の所有者から上空の飛行合意を取って、上空スペースをシェアしてもらいます。
土地の所有者は、専用プラットフォームに自分の土地の上空を登録しておくと、そこをドローンが通る度に通行料が支払われるので、取り組みに対しても前向きな意識を持てるようです。
こういった空の道は現在12本設けられ、将来、住民の生活の助けになるようプロジェクトが進められています。
シェアリングエコノミー協会
都市部のハイスキル人材を鳥取県の中小企業へ副業社員としてマッチング(鳥取県)
鳥取県では労働人口の流出が以前より問題視されており、また、ハイスキルな人材が県内にいないことで、経営課題を克服できない状態が続いていました。
そこで課題に対する取り組みとして、「とっとり副業兼業プロジェクト -鳥取で週一副社長-」を発足。
専用プラットフォームを使い、都市部のハイスキル人材を副業人材として採用することに決めました。
すると、これまで正社員求人に対して応募がなかった企業103の求人に対して、のべ1,200名以上の応募が集まり、50社が60名以上の副業人材を採用しました。
都市部のハイスキル人材とのマッチングが行われた結果、これまで中小企業が着手出来なかった人材育成をはじめ、マーケティング・情報発信の面が強化されたのです。
これも適切なスキルシェアが行われた結果、シェアリングエコノミーのよい循環を生み出した例だといえます。
まとめ
ここまで、デジタル田園都市国家構想におけるシェアリングエコノミーの立ち位置について解説してきました。
本構想におけるシェアリングエコノミーは地方企業のDX化を促進するとともに、働き方改革の一環として位置づけられており、地域内外の様々な遊休資本を活用することで、地域が抱える課題解決に貢献することを期待されています。
そうした繋がりは地域の共同体意識や相互支援の文化が醸成され、より良い共生関係が築かれることでしょう。
まずは身の回りを整理して、使っていないモノや、自分のスキルを見直してみませんか?
きっと、誰かの役に立つものが眠っているはずです。