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ネットワーク効果の意味と4つの種類|自社のプラットフォームで働く条件と立ち上げ方
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ネットワーク効果とは、同じサービスを使う人が増えるほど、一人ひとりにとってのサービスの価値が高まる現象です。
「プラットフォームを作れば自然に働く」と思われがちですが、実際に働くかどうかは、参加者の組み合わせと、どの範囲で人を集めるかで決まります。この記事では、4つの種類と負の効果、7つのプラットフォームの型で見た働く条件、立ち上げ期の打ち手までを整理します。
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ネットワーク効果の意味
ネットワーク効果とは、利用者が増えること自体が、ほかの利用者にとっての価値を高める現象です。機能や価格が同じでも、使う人が多いサービスほど選ばれやすくなるのはこのためです。
利用者が増えるほど価値が高まる現象
身近なたとえは電話です。電話機を持っている人が自分1人なら、電話には何の価値もありません。しかし、知人や取引先が電話を持つようになるほど、同じ電話機でも連絡できる相手が増え、価値が上がっていきます。
メッセージアプリやSNSも同じ構造です。サービスの中身が変わらなくても、「みんなが使っているから自分も使う」という理由で利用者が集まり、それがさらに利用者を呼びます。プラットフォームの基本的な仕組みについては、プラットフォームとは?意味・種類・ビジネスへの活用で解説しています。
ネットワーク外部性との違い
ネットワーク外部性は、ネットワーク効果とほぼ同じ意味で使われる経済学の用語です。ビジネスの場では「ネットワーク効果」、経済学や競争政策の文脈では「ネットワーク外部性」と呼ばれることが多い、という使い分けで理解して差し支えありません。
「外部性」とは、ある人の行動が、お金のやり取りを通さずに他人へ影響することです。誰かがサービスに加入すると、加入した本人だけでなく、すでに使っている人の利便性も上がります。この「他人への良い影響」に注目した呼び方が、ネットワーク外部性です
公的資料での説明
総務省の「平成29年版 情報通信白書」は、オンラインプラットフォームの特徴として両面市場とネットワーク効果を挙げています。両面市場とは、同白書によれば「2組の経済主体が仲介者やプラットフォームを通じて相互に作用する市場」です。
同白書は、こうした市場では「利用者数が多いほど各利用者の満足度が高くなるというネットワーク効果が強く働き」、初期にわずかな差で優位に立った事業者が、その後に圧倒的な市場規模やシェアを獲得している点に注目しています。ネットワーク効果は、立ち上げ初期の小さな差が後の大きな差になる仕組みだと言い換えられます。
※出典:総務省「平成29年版 情報通信白書」第1部第3節 オンラインプラットフォームとデータ利活用(2017年)
ネットワーク効果の4つの種類
ネットワーク効果は、「誰が増えると、誰にとって価値が上がるか」で4つに分けられます。自社の事業でどの種類が働くかを見分けることが、集客の順番を決める出発点になります。プラットフォーム企業ごとの具体例は、プラットフォーム企業の具体例一覧もご覧ください。

直接ネットワーク効果
直接ネットワーク効果とは、同じ立場の利用者が増えるほど、その利用者同士の価値が上がる効果です。電話、メッセージアプリ、SNSが代表例です。
この効果は、利用者同士が直接つながることで生まれます。そのため、「誰とつながれるか」が価値の中心になり、友人や同僚がいるサービスから離れにくくなります。
間接(サイド間)ネットワーク効果
間接ネットワーク効果とは、一方の利用者が増えると、もう一方の立場の利用者にとって価値が上がる効果です。立場(サイド)をまたいで効くため、サイド間ネットワーク効果とも呼ばれます。
フリマアプリでは、出品者が増えると品ぞろえが増え、購入者にとっての価値が上がります。購入者が増えれば売れやすくなり、出品者にとっての価値が上がります。ゲーム機と対応ソフト、スマートフォンのOSとアプリの関係も同じです。マッチングサイトやマーケットプレイスなど、多くのプラットフォームの成長を支えているのはこのサイド間の効果です。どのサイドから収益を得るかの考え方は、プラットフォームビジネスの収益モデルで解説しています。
ローカルネットワーク効果
ローカルネットワーク効果とは、特定の地域や業界の中で参加者が増えたときにだけ、価値が上がる効果です。
たとえば、地域の飲食店と利用者をつなぐサービスでは、遠く離れた地域の店が増えても、利用者の役にはほとんど立ちません。業界特化のマッチングも同様で、別の業界の参加者がいくら増えても価値は上がりません。言い換えると、全国規模の利用者数を集めなくても、狭い範囲で密度を高めれば効果を起こせるということです。この点は、新しくプラットフォームを立ち上げる企業にとって大きな意味があります。
データネットワーク効果
データネットワーク効果とは、利用されるほどデータがたまり、検索結果やおすすめの精度が上がることで、サービスの価値が高まる効果です。地図アプリの渋滞情報や、マッチングのおすすめ機能などが当てはまります。
ただし、データの量だけで優位が続くとは限りません。ある程度データがたまると精度の伸びは小さくなり、後発のサービスでも追いつける場合があります。データネットワーク効果は、ほかの3つの効果を補うものとして考えるのが現実的です。
負のネットワーク効果と限界
利用者が増えれば、いつでも価値が上がるわけではありません。参加者が増えることで、かえって価値が下がる「負のネットワーク効果」もあります。

同じ側が増えすぎると価値が下がる
サイド間の効果がプラスでも、同じ側の参加者同士ではマイナスに働くことがあります。マーケットプレイスで出品者が増えすぎると、出品者同士の価格競争が激しくなり、1人あたりの売上が下がります。購入者から見ても、似た商品が多すぎると探しにくくなります。
参加者の質が下がる問題もあります。SNSで迷惑な投稿が増えたり、マッチングサイトで条件に合わない登録が増えたりすると、既存の利用者が離れていきます。人数を増やすことと同時に、参加条件や審査、評価の仕組みで質を保つ設計が欠かせません。
マルチホーミング(併用)で効果が弱まる
マルチホーミングとは、利用者が同じ種類の複数のサービスを並行して使うことです。飲食の出前サービスで、店舗も利用者も複数のアプリに登録している状態が典型例です。
併用が当たり前になると、どのサービスも利用者を囲い込めず、ネットワーク効果による優位は弱まります。登録や乗り換えの手間が小さい事業ほど併用されやすいため、自社にしかない機能や、使い続けるほど便利になる仕組み(取引履歴や評価の蓄積など)が重要になります。
参加者が少ないうちは効果が出ない
ネットワーク効果は、参加者が一定の数(クリティカルマス)を超えるまではほとんど働きません。クリティカルマスとは、利用者が自然に利用者を呼ぶようになる分岐点のことです。
その手前では、出品者がいないから購入者が来ない、購入者がいないから出品者が来ない、という「鶏と卵問題」に陥りがちです。この問題が立ち上げ期の失敗にどうつながるかは、プラットフォームビジネスの問題点とリスクで、新しい市場で利用者が広がる途中の壁については、キャズム理論とはで解説しています。
自社の事業でネットワーク効果は働くか
ここまでの種類と限界を踏まえると、ネットワーク効果が働くかどうかは事業の形でおおむね見当がつきます。「誰が増えると、誰の価値が上がるか」を、企画の段階で言葉にできるかが判断の分かれ目です。
プラットフォームの7つの型で見る
カスタメディアが構築に対応しているプラットフォームの7つの型について、主に働く効果と注意点を整理しました。あくまで一般的な傾向であり、同じ型でも参加者の設計によって変わります。
| プラットフォームの型 | 主に働く効果 | 効く範囲 | 先に集めたい側の例 | 負の効果が出やすい点 |
| スキル&ジョブマッチ型 | サイド間(依頼する側と受ける側) | 職種・地域 | 依頼(案件)を出す側 | 受ける側が増えすぎると1人あたりの仕事が減る |
| ビジネスマッチング型 | サイド間(発注企業と受注企業) | 業界 | 課題を持つ発注側 | 営業目的の登録が増えると質が下がる |
| フリマ/マーケットプレイス型 | サイド間+データ | 全国に広がりやすい | 出品者(品ぞろえ) | 出品者同士の価格競争、質の低い出品 |
| スペース/時間シェア型 | サイド間+ローカル | 地域 | 貸し手(スペース・時間) | 人気の時間帯に利用が集中する |
| 寄付/クラウドファンディング型 | サイド間(起案者と支援者) | テーマ・地域 | 魅力のある起案(プロジェクト) | 案件が増えると支援が分散する |
| ファンコミュニティ型 | 直接(ファン同士)+発信者とファンの間 | コミュニティの中 | 発信者・中心となるメンバー | 人数が増えると交流の密度が下がる |
| ポータルサイト型 | サイド間(掲載者と閲覧者)+データ | 地域・業界 | 掲載情報 | 掲載が増えると目当ての情報を探しにくくなる |
※各型に働く効果は、ネットワーク効果の一般的な定義から整理したものです。
表からわかるのは、多くの型でサイド間の効果が中心になり、範囲は地域や業界に区切られやすいことです。つまり、ローカルネットワーク効果を前提に「どの範囲で、どちらの側から集めるか」を決めることが、立ち上げの計画そのものになります。
働くかを判定する5つの質問
企画中の事業にネットワーク効果が働くかは、次の5つの質問で確認できます。「いいえ」が多い場合は、ネットワーク効果に頼らない成長の筋道(機能の価値や営業による獲得など)も合わせて考えておくと安心です。
| 質問 | 「はい」の場合の意味 |
| 1. 参加者は2種類以上いるか(または参加者同士がつながるか) | サイド間か直接の効果が働く余地がある |
| 2. 参加者が増えると、ほかの参加者の利便性が上がるか | 効果の中身を説明できる |
| 3. 地域・業界・テーマなどで範囲を狭く切れるか | 少ない参加者でもクリティカルマスを超えやすい |
| 4. 利用者が複数のサービスを併用しにくいか | 効果による優位が続きやすい |
| 5. 参加者が1人でも価値を感じる機能を用意できるか | 参加者が少ない時期も利用が続く |
立ち上げ期にネットワーク効果を起こす打ち手
働く条件がそろっていても、クリティカルマスを超えるまでは運営側が意図して参加者を集める必要があります。立ち上げ期の打ち手は、「範囲を絞る」「片側を用意する」「1人でも使える価値を作る」「反応を見て直す」の4つに整理できます。

範囲を狭く切って、先にクリティカルマスを超える
最初から全国・全業種を狙うと、参加者が薄く散らばり、どこでも効果が起きません。地域、業界、職種、テーマのいずれかで範囲を絞り、その中で参加者の密度を高めるほうが、早くクリティカルマスに届きます。
どの範囲から始めるかは仮説です。小さく始めて利用状況を見ながら範囲を広げる考え方は、仮説検証の進め方が参考になります。
片側を自社で用意する
既存の事業を持つ企業は、自社の顧客、取引先、会員、OB・OGといった関係をすでに持っています。これらを片側の最初の参加者として招けば、ゼロから集めるスタートアップに比べて、鶏と卵問題を抜け出しやすくなります。
たとえば、取引先の企業を受注側として先に登録してもらい、発注側を後から募るといった進め方です。ただし、既存の関係者に参加を頼むだけでは利用は続きません。参加した側にとっての具体的な利点(新しい取引先と出会える、手間が減るなど)を、最初に示せるかが重要です。
1人でも価値がある機能から始める
参加者が少ない時期は、ネットワーク効果による価値をまだ提供できません。そこで、他の参加者がいなくても役に立つ機能を入口にする方法があります。
予約管理や在庫管理、情報発信など、単独でも使える業務ツールとして使ってもらい、利用者が集まった段階でマッチングや取引の機能を開くという順番です。入口の機能が便利であれば、参加者が少ない時期の離脱を抑えられます。
参加者の反応を見て機能を足す
立ち上げ期は、どちらの側が先に集まるか、どの機能が使われるかを事前に正確には読めません。最初から機能を作り込むより、最小限の形で公開し、参加者の反応を見て足りない機能を加えていくほうが、効果を起こしやすくなります。
失敗を避けるための立ち上げ手順は、プラットフォームの失敗リスクと回避する5つの立ち上げ手順で詳しく解説しています。
ネットワーク効果を前提にプラットフォームを作るなら
ネットワーク効果は、公開した時点で完成するものではなく、参加者の動きに合わせて仕組みを直しながら育てるものです。そのため、プラットフォームの開発では「公開後に自社で変えられるか」が重要な選択基準になります。作り方の全体像はプラットフォームの作り方をご覧ください。
カスタメディアプラットフォームは、900件以上の構築実績から生まれたプラットフォームの「型」を使い、お客様自身がAI駆動セルフ開発ツール『S-MASE』で開発し、カスタメディアが伴走する方式です。マッチング、EC、クラウドファンディング、コミュニティなどの型に対応しており、小さく公開して検証を繰り返しながら機能を足していく進め方に向いています。
よくある質問
Q. メトカーフの法則とは何ですか?
ネットワークの価値は利用者数の二乗に比例する、という経験則です。利用者同士のつながりの数が増えることを表したもので、実際の事業の価値をそのまま計算できる式ではありません。
Q. ネットワーク効果はどのくらいの利用者数から働きますか?
一律の数値はありません。クリティカルマスは、事業の範囲や参加者の組み合わせによって変わるため、範囲を絞って利用状況を見ながら見極めることになります。
Q. BtoBのサービスでもネットワーク効果は働きますか?
働きます。発注企業と受注企業をつなぐビジネスマッチングや、業界内の企業が情報をやり取りするサービスでは、参加企業が増えるほど取引先の選択肢が増えるため、サイド間の効果が働きます。
まとめ|ネットワーク効果は「範囲」と「順番」で起こす
ネットワーク効果とは、利用者が増えるほどサービスの価値が高まる現象です。直接、サイド間、ローカル、データの4種類があり、多くのプラットフォームでは、サイド間の効果が地域や業界の範囲の中で働きます。
ネットワーク効果は自然に起きるものではなく、範囲を絞り、どちらの側から集めるかを決めて起こすものです。負の効果や併用による弱まりも踏まえ、企画の段階で「誰が増えると、誰の価値が上がるか」を確認しておきましょう。
プラットフォームの立ち上げを相談したい方へ
カスタメディアでは、マッチングやコミュニティなどのプラットフォームを、お客様自身が作り、カスタメディアが伴走する形で支援しています。「自社の事業にどの型が合うか知りたい」「小さく公開して、参加者の反応を見ながら育てたい」といったご相談をお受けしています。お気軽にお問い合わせください。
