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マンション住民のコミュニティ形成|高齢化・担い手不足の時代に仕組み化する方法

マンション住民のコミュニティ形成|高齢化・担い手不足の時代に仕組み化する方法

2026年10月28日

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マンションのコミュニティ形成とは、住民同士の顔の見える関係を、管理・防災・日々の暮らしに生かせる形で育てていくことです。

「イベントを開けば自然にできる」と考えられがちですが、続くかどうかを左右するのは、誰が担い、費用をどこから出し、参加の入口をどう用意するかという仕組みの部分です。この記事では、国土交通省の調査データをもとに、必要な理由、役割と費用の線引き、5つのステップ、デジタルでの仕組み化までを整理します。

マンションのコミュニティ形成とは

マンションのコミュニティ形成とは、住民同士が日常的に声をかけ合い、建物の課題を一緒に解決できる関係をつくることです。親睦そのものが目的ではなく、管理や防災を自分たちで回せる土台をつくる取り組みといえます。

管理組合・自治会・住民同士のつながりは別のもの

マンションの「コミュニティ」には、性質の違う3つのつながりが混ざっています。管理組合は区分所有者全員で構成し、建物と敷地の管理を行う団体です。自治会(町内会)は、住民が任意で加入し、地域活動や親睦を担う団体です。

これに加えて、組織に属さない住民同士のゆるやかなつながりがあります。あいさつを交わす、子どもを通じて知り合う、困ったときに頼れるといった関係です。たとえるなら、管理組合は「家の修繕を決める家族会議」、自治会は「ご近所との付き合い」、住民同士のつながりは「日ごろの会話」にあたります。コミュニティ形成で育てたいのは、この3つが互いに支え合う状態です。

4つの層で考えるとやることが見えてくる

国土交通省の国土交通政策研究所は、マンションの維持管理とコミュニティの関係を調べた研究で、コミュニティを4つの層に分けて整理しています。管理組合、建物の中の住民のつながり、地域の課題に取り組むつながり、建物を越えた広域・テーマ別のつながりです。

同じ研究では、良好な住民関係を、マンションが日常の問題を自分たちで解決するための「基礎体力」と位置づけています。ただし、コミュニティがあればすべて解決するわけではなく、個々の事情や法的な制約も残る点にも触れています。

マンションのコミュニティの4つの層。管理組合、建物の中の住民のつながり、地域の課題に取り組むつながり、建物を越えた広域・テーマ別のつながり

なぜ今、コミュニティ形成が必要なのか

背景にあるのは、住民の高齢化と管理の担い手不足、そして住民同士の距離の広がりです。国土交通省「令和5年度マンション総合調査」の数値から見ていきます。

令和5年度マンション総合調査の主な数値。70歳以上の割合25.9%、居住者間の行為・マナーをめぐるトラブル60.5%、賃貸住戸のあるマンション77.8%、委任状などを除く総会出席割合の平均24.6%

高齢化で役員のなり手が減っている

居住者の高齢化が進み、70歳以上の割合は25.9%と前回調査より3.7ポイント増えました。1984年以前に建てられたマンションでは55.9%に達しています。

管理組合の役員を外部の専門家に任せる「外部役員」を検討している、または将来検討したいマンションは34.6%でした。その理由は「区分所有者の高齢化」が42.7%、「役員のなり手不足」が42.3%です。住民の中で役割を引き受ける人が減っていることが、数字にも表れています。

トラブルの6割は住民同士の問題

過去1年間に起きたトラブルで最も多いのは、「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」で60.5%でした。具体的には、生活音が43.6%、違法駐車が18.2%、ペット飼育が14.2%と続きます。

生活音のように、ルールだけでは解決しにくい問題は、相手の顔が見えているかどうかで受け止め方が変わります。日ごろのつながりは、トラブルを小さいうちに収めるための備えでもあります。

賃貸化と無関心で総会に人が集まらない

賃貸住戸のあるマンションは77.8%で、前回より3.1ポイント増えました。区分所有者のうち「永住するつもり」と答えた人は60.4%です。住む人と所有する人が分かれ、建物への関わり方にも差が出ています。

総会の出席割合は、委任状や議決権行使書を含めると平均88.5%ですが、本人が出席した割合の平均は24.6%にとどまります。意思決定の形式は保たれていても、話し合いの場に人がいない状態です。

災害時に頼れるのは近くの住民

国土交通省は、2016年3月の標準管理規約の改正にあたり、コミュニティ形成を、日常的なトラブルの防止や防災・減災、防犯の観点から重要なものと位置づけています。

大きな災害の直後は、管理会社や行政の支援がすぐに届くとは限りません。安否確認や在宅避難の助け合いは、同じ建物の住民が担うことになります。地域全体でつながりを測る考え方は「ウェルビーイング指標の活用ガイド」で紹介しています。

出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」報道発表資料・結果概要(2024年6月21日公表)

誰が担う?管理組合・自治会・管理会社の役割と費用の線引き

必要性がわかっても、「誰がやるのか」「お金はどこから出すのか」があいまいなままでは動き出せません。コミュニティ形成は管理組合だけの仕事ではなく、複数の主体で分担するものです。

6つの主体で役割を分ける

国土交通政策研究所の研究では、コミュニティ形成に関わる主体として、管理組合(建物内の自治組織を含む)、地域の町内会・自治会、管理会社、デベロッパー、自治体、支援団体の6つを挙げています。

役割の目安は、デベロッパーが入居前の設計とルールづくり、管理会社が日々の運営支援と情報発信、管理組合が建物の課題の話し合い、自治会が親睦と地域との接点、自治体と支援団体が相談や助成という分担です。入居前に関われるのはデベロッパーと管理会社だけで、この時期の仕掛けがその後の関係を左右します。

管理費で出せる活動と自治会費で出す活動

費用の考え方は、2016年3月の標準管理規約の改正で整理されました。国土交通省の改正概要では、防災・防犯や美化・清掃など、建物の管理に関わるコミュニティ活動は管理組合の業務として行えることを明確にし、判例も踏まえて業務を整理したとしています。

一方で、管理費と自治会費は、徴収も支出も分けて運用することが求められています。防災訓練や清掃は管理組合の業務として扱いやすく、親睦目的の行事は自治会費で行うのが基本です。自治会費を管理組合が代わりに集めることも、両者を区別し、負担の整理をしたうえであれば差し支えないとされています。

管理費と自治会費の線引き。管理費は防災・防犯、美化・清掃など建物の管理に関わる活動、自治会費は親睦行事など任意の地域活動。徴収と支出は分けて運用する

個々の活動がどちらに当たるかは、各マンションの管理規約と総会の決議によって変わります。判断に迷う場合は、管理規約の該当条文と国土交通省の標準管理規約のコメントを確認してください。

自治会への加入は任意

国土交通省の改正概要では、自治会・町内会は住民が各自の判断で加入するものであることに留意するよう求めています。賃貸で住んでいる人や、地域活動に関わりたくない人がいるのは自然なことです。

そのため、自治会を中心にコミュニティを組み立てると、加入していない住民が抜け落ちます。全住民に届く情報発信は管理組合側で用意し、自治会はその上に重ねるという分け方が現実的です。

出典:国土交通省「マンションの管理の適正化に関する指針及び標準管理規約の改正の概要」

コミュニティ形成の進め方5ステップ

役割と費用の線が引けたら、具体的に動き出します。国土交通政策研究所の研究が挙げる方策をもとに、5つのステップに整理しました。最初から大きな行事を目指さず、小さく始めて続けることが基本です。

ステップ1:入居前・入居時に最初の接点を設計する

研究では「お付き合いは最初が肝心」として、入居初期の取り組みを重視しています。共用ラウンジやエレベーターホールの配置といった建物側の工夫と、入居時の交流会のような運営側の工夫の両方が対象です。

デベロッパーと管理会社にとっては、ここが最も手を打ちやすい段階です。共用施設の使い方や自治会への加入方法も、地域と入居前に話し合っておくと、入居後の混乱を減らせます。

ステップ2:管理の動きを見える化する

住民が管理に関心を持たない理由の一つは、何が決まり、誰が動いているのかが見えないことです。役員の顔ぶれ、理事会で話し合ったこと、修繕の予定などを、広報誌や掲示板で定期的に伝えます。

「知らないうちに決まっていた」という感覚を減らすことが、総会の出席や役員の引き受けにつながります。

ステップ3:小さく楽しい活動から始める

最初の活動は、準備の負担が小さく、成果が目に見えるものが向いています。花壇の手入れ、季節の飾りつけ、子ども向けの小さな催しなどです。

住民の年齢層によって合う活動は変わります。子育て世帯が多いのか、高齢の単身世帯が多いのかを把握し、参加しやすい時間帯や形式を選びます。

ステップ4:防災・防犯など共通の課題を話し合う場をつくる

親睦の次は、全員に関わる課題を共有します。防災はその代表で、備蓄、安否確認の方法、在宅避難の手順など、住民が自分ごととして考えやすいテーマです。

研究では、課題を表に出して話し合い、検討の場や試行の取り組みを設けることを方策に挙げています。防災委員会のような小さな組織を立ち上げると、関心のある住民が集まる場にもなります。

ステップ5:役員以外の参加の入口をつくる

理事を引き受けるのは負担が大きくても、イベントの手伝いや広報誌の編集なら関われるという人はいます。役員か不参加かの二択にせず、関わり方の段階を用意することが、担い手不足への現実的な対策です。

こうした入口で関わった住民が、数年後に役員を引き受けることもあります。担い手を育てる時間軸で考えるとよいです。

出典:国土交通政策研究所「マンションの適正な維持管理に向けたコミュニティ形成に関する研究」第5章

よくある課題と対策

5つのステップを進めても、途中で止まる理由はおおむね共通しています。ここでは3つの課題と対策を取り上げます。

関心のある人だけが動いて疲れてしまう

活動が一部の熱心な住民に集中すると、その人が退去したり疲れたりした時点で止まります。活動の内容より先に、担当の交代や引き継ぎのルールを決めておくことが重要です。

記録を残し、誰が見てもわかる場所に置いておくだけでも、次の担い手が入りやすくなります。

賃貸の住民・高齢の住民・子育て世帯に届かない

賃貸の住民は総会での議決権がなく、管理組合の掲示を見ない場合もあります。高齢の住民は紙の情報が頼りで、子育て世帯は平日の日中に時間を取れません。

対策は、情報の届け方を一つに絞らないことです。紙の掲示とデジタルの通知を併用し、行事の時間帯も分散させます。管理会社やオーナーを通じて、賃貸の住民に案内を届ける経路も確保しておきます。

「参加しないといけない」という空気が逆効果になる

参加を強く促すほど、関わりたくない住民は距離を置きます。自治会への加入が任意であるのと同様に、コミュニティ活動も参加は自由である、という前提を最初に示しておくことが重要です。

あわせて、連絡先や家族構成などの個人情報の扱いも決めておきます。名簿や安否確認の仕組みをつくる際は、利用目的と管理者を明確にし、同意を得たうえで運用します。

デジタルで形成を仕組み化する

人の頑張りに頼る運営は、担い手が減ると続きません。情報共有や連絡の手間をデジタルで減らすと、少ない人数でもコミュニティを維持しやすくなります。

紙の掲示板・回覧板・総会をデジタルにする

コミュニティ形成に関わる業務の多くは、デジタルに置き換えられます。掲示板や回覧板はお知らせの配信に、共用部の予約は予約機能に、災害時の連絡は安否確認機能にあたります。

総会や理事会も、2021年6月に国土交通省が公表した標準管理規約の改正で、ITを活用した開催についての規定が整備されました。導入する際は、自分のマンションの管理規約が対応しているかを確認します。

紙の運営とデジタルの対応。掲示板・回覧板はお知らせ配信、総会・理事会はオンライン開催と議決、共用部の予約は予約機能、災害時の連絡は安否確認、住民同士の交流は住民専用の掲示板やサークル

運営のアプリと交流のアプリは目的が違う

マンション向けのアプリには、大きく2つの方向があります。管理組合の運営を効率化するもの(お知らせ、総会、書類の共有など)と、住民同士の交流を促すもの(住民専用の掲示板、サークル、物の貸し借りなど)です。

どちらを選ぶかは、解決したい課題で決まります。役員の負担を減らしたいなら運営寄り、住民同士の関係を育てたいなら交流寄りのものが向いています。具体的なアプリの種類と費用は「マンション管理組合アプリ7選」で比較しています。

事業者が住民向けの場を用意する選択肢

管理会社やデベロッパーが、住民向けのプラットフォームを用意して入居時から提供する方法もあります。ステップ1の「最初の接点」をデジタルで用意できるうえ、管理会社にとっては住民との接点を持ち続ける手段にもなります。

カスタメディアでは、マンション専用の住民向けプラットフォームを提供しています。住民同士のコミュニティや情報共有を一つの場にまとめたい場合は、マンション住民コミュニティのサービス紹介をご覧ください。

よくある質問

  1. Q. マンションのコミュニティ活動に管理費を使ってもよいですか?

    防災・防犯や美化・清掃など、建物の管理に関わる活動であれば、管理組合の業務として扱えます。親睦目的の行事は自治会費で行うのが基本で、管理費と自治会費は分けて運用します。

  2. Q. 自治会がないマンションはどうなりますか?

    管理組合が建物の管理を担う点は変わりません。ただし、親睦や地域との接点を担う組織がないため、全住民向けの情報発信や防災の取り組みを管理組合側で用意しておくと安心です。

  3. Q. マンションのトラブルで多いのは何ですか?

    令和5年度マンション総合調査では、居住者間の行為・マナーをめぐるトラブルが60.5%で最も多く、建物の不具合(31.7%)、費用負担(24.2%)が続きます。住民同士のトラブルの中では生活音が43.6%で最多です。

  4. Q. 賃貸で住んでいる人もコミュニティ活動に参加できますか?

    参加できます。総会の議決権は区分所有者にありますが、防災訓練や交流行事、自治会には賃貸の住民も加われます。案内が届くよう、管理会社やオーナーを通じた連絡経路を用意しておきます。

  5. Q. コミュニティアプリは誰が導入するものですか?

    管理組合が総会で決めて導入する場合と、管理会社やデベロッパーが住民向けに提供する場合があります。費用の負担者と運営の担当者が誰になるかを、導入前に決めておくことが重要です。

まとめ|コミュニティ形成は「人」より先に「仕組み」から

マンションのコミュニティ形成は、住民同士のつながりを、管理・防災・暮らしに生かせる形で育てる取り組みです。高齢化で70歳以上が25.9%、住民同士のトラブルが60.5%、本人の総会出席が24.6%という現状では、熱心な住民の頑張りだけに頼る運営は続きません。

誰が担い、費用をどこから出し、どこから参加できるかを先に決めることが、コミュニティを長続きさせる近道です。入居時の接点づくり、管理の見える化、小さな活動、課題の共有、参加の入口という5つのステップを、デジタルの仕組みと組み合わせて進めてください。

マンションの住民向けの場づくりを相談したい方へ

カスタメディアでは、マンション専用の住民向けプラットフォームの提供に加え、コミュニティやマッチングなどのプラットフォームを900件以上構築してきた実績をもとに、管理会社・デベロッパーの企画を支援しています。「入居者向けにどのような機能から始めるべきか」「自社の管理物件で住民同士の交流を促したい」といったご相談をお受けしています。

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